むじな的

○月×日

知り合いがお店をオープンしたとの知らせが入りお祝いがてら顔を出すことにする。
差し入れにクッキーを焼いてみた。オールブラウンクッキー。デカい。
味見はしてないから保障はない。チョコチップ入れたから。
不味かったらその時はまぁなんだ、許せ。

○月×日

美容院へ行く。いつもながら苦手だ。
美容師さんは何であんなに話し掛けてくるんだろう。別に無理矢理話題投げかけんでもいいよ、って思う。それより手元に集中してくれ。
まぁうちが行く美容室は全部一人がやってる個人店やから仕方ないのか。
髪型の雰囲気を少し変えた。
美容師さんはやらと切りたがるくせに思い切った事提案すると、いいんですか？！って驚いて少し戸惑う。…どっちやねん。
どーでもいいがこの美容師さん、うちの事スタイリストだと思っているらしい。…何故？

○月×日

新しい髪型は中々好評である。みんな一声かけてくれる。T君にいたっては二度見したからね。にこにこしながら褒めてくれた。
新しい髪型はなんと云うか一つくくりにするとDグレの神田みたいになる。

○月×日

お気に入りのパン屋が閉店した。正確には移転なのだがあまりに急な事で驚いた。移転場所は地元から二駅先だ。近からずとも遠からず。微妙だ。
とても狭くて一人お客が入ったらもういっぱいになるような店だった。
あの焼きたてのパンを食べる機会が減ることを考えるととても淋しい。
…さよならはちみつパン。

○月×日

母よ、メールの内容がわかりません。

¨がづがりまりととら¨

まったく解読不能。

○月×日

本屋へ行く。
欲しかった本と新刊が出てたので購入する。読むのが楽しみだ。
本屋といえば昔からそうなのだか本屋で長居してると便意をもよおす。
これは自分だけかと思っていたがそういう人は結構いるらしい。インクの匂いに触発されるとかなんとか聞いたことがあったが真相はわからない。
なので本屋で凛さんがそっと姿を消したときはみなさん何も云わず察してください。

○月×日 トイレその２

女子トイレはとにかく混む。しかも一人の所用時間が長い。
以前トイレで列に並んでいたとき個室のどっかから放屁が聞こえた。結構すごい音だった。
みんな聞こえなかったフリしていたが前に並んでいた親子連れの子供がすかさず「おならした！」とでかい声でいった。瞬間トイレ内は張り詰めた空気になった。
放屁した本人の心中を考えるとなんとも居たたまれなかった。

○月×日 トイレその３

便意というのは抗い難いものである。なんとなく予感がある時はいいが、突然なんの予兆もなく襲い掛かってくるのは、困る。
またしても本屋での話になるがもう破竹の勢いで襲い掛かってきて困った。
便意との壮絶な戦いの始まりである。
すぐトイレに行けばいいのだが気になる本をチェックしているタイミングだったりするから始末が悪い。
ちょっと待ってくれ、このページだけ読ませてくれ、アンタさっきまで全然そんな気配なかったやないか。格闘を試みるがあえなく撃沈。白旗降参トイレへと駆け込む。
が、そんな時に限って混んでいる。しかも本屋に併設されてるトイレは個数が少ない。
落ち着け、順番が来れば事無きを得る。ああほらもうすぐだ。
そんな時列の後ろの方から親子連れがやってきて順番を変わってもらっている。子供がもよおして我慢できないようだ。
みんな快く変わってやってるが自分にそんな余裕はない。そしてうちのすぐ後ろまでやってきた。
悪いが便意に大人も子供も関係ない。譲れないよ。だがもの言いたげな視線を投げ掛けてくる。
いやいや、考えてもみてほしい。どちらの方が悲惨か。子供が粗相した場合と大人である私がした場合と。火をみるより明らかだ。子供の場合まだ救いがあるだろう。こっちは救いがないどころか何かが終わる気がする、人間として。
次あの扉、天国への扉をくぐるのはこの私だ！
だが瞬間あるお話が頭を掠める。蜘蛛の糸、芥川龍之介の作品だ。
自分だけ助かろうとして結局落ちたカンダタ。折角極楽へ行けるところだったのに。狭き心は自分をも貶める。
ん？いや待て今の自分の場合どちらにしろ地獄なのでは？ああなんだか訳が分からなくなってきた。
…パタン。ドアが開いた！天国だ！早く行くんだ自分！便意の猛威がすぐそこまで迫ってるんだ！情けなんかかけられるかコンチクショー！交差する泣きそうな子供の目…。

「…あの、お先どうぞ」

これで私が地獄へ落ちた時ああ、あの時子供に譲ってあげてたなぁって釈迦が思い出して極楽への糸を垂らしてくれるのでしょうか？
…まぁ結局事なきを得たんでいいんですがね。


○月×日

みなさん薄々お気付きとは思いますがいつもと日記の書き方が違います。
この間買った本に影響されて。単純である。
その本の話はまた今度。